スペシャルインタビュー

コンパクトシティで賑わい復活を目指す 秋田市中心市街地の再開発

「秋田市役所」外観 ※秋田市役所提供画像
「秋田市役所」外観 ※秋田市役所提供画像

人口減少や少子高齢化が進む中、秋田市では官民連携でコンパクトな街づくりを進めてきた。そして今、秋田駅周辺では、徐々に賑わいが復活しつつあるという。秋田市都市整備部の湊一輝さんに、秋田駅周辺の魅力や生まれ変わりつつある街への期待感などを聞いた。

「秋田市役所」内観 ※秋田市役所提供画像
「秋田市役所」内観 ※秋田市役所提供画像

郊外開発によって空洞化した中心市街地を活性化

―秋田市の概要をお聞かせください。

湊さん:秋田市は秋田県のほぼ中央に位置する、緑豊かな公園都市です。東には出羽山地、西には日本海が広がり、南東部から中央部にかけて流れる雄物川流域には肥沃な耕地が広がっています。現在の中心市街地一帯は、1603(慶長8)年に佐竹義宣が築城を開始した久保田城とその城下町が基礎になっています。明治以降は県庁所在地としての機能を担い、秋田県人口の3分の1近くを擁する都市となり、1989(平成元)年に市制施行100周年を迎えました。1997(平成9)年には中核市となり、県都として発展を続けています。2021(令和3)年8月1日現在、人口は約30万人です。

「秋田駅前大屋根通」 ※秋田市役所提供画像
「秋田駅前大屋根通」 ※秋田市役所提供画像

―「秋田市中心市街地活性化基本計画」が生まれた経緯をお聞かせください。

湊さん:秋田駅前には明治の頃から県庁や市役所が整備されていましたが、昭和に入ってから一団地の官公庁施設を整備するよう都市計画決定がなされ、現在の山王地区に移転しました。この取組は当時、先進的な取組であったと伺っております。官公庁施設が移転した跡地には、大規模小売店等が建ち並び、買い物客が行きかう商業地区として賑わうようになりました。しかし平成に入ってから、郊外型店舗の進出や郊外開発が進み、中心市街地の商業施設の移転や閉店が相次ぎ、商業活動の停滞や地価の下落、居住人口の減少、空き店舗の増加といった問題が出てきました。その結果、中心市街地の衰退が進み、まちの再生が叫ばれるようになりました。

こうした中、中心市街地を再び活性化するため、2008(平成20)年に「第1期秋田市中心市街地活性化基本計画」を策定しました。

さらに、2017年(平成29年)には、「第2期秋田市中心市街地活性化基本計画」を策定し、前計画の課題を整理し、更なる活性化に向け、各種取組を実施しております。

「空から見る秋田市中心市街地のまちづくり」 ※秋田市役所提供画像
「空から見る秋田市中心市街地のまちづくり」 ※秋田市役所提供画像

―現在の状況について教えていただけますか。

湊さん:昨年8月に「秋田駅西口駅前広場」が完成。11月には秋田版CCRC拠点施設「クロッセ秋田」が完成し、入居が始まっています。CCRCというのは、高齢者が健康な段階で入居し、安心して暮らすことを目指した生活共同体のことで、その拠点施設であるクロッセ秋田は5階以上がマンションとなっており、140名程度の居住者を想定しています。1階から4階部分には、銀行やクリニックなどが併設されていて、高齢の方でも利用しやすい環境が整っております。

「秋田市文化創造館」 ※秋田市役所提供画像
「秋田市文化創造館」 ※秋田市役所提供画像

続いて今年3月には「秋田市文化創造館」が開館。市民とともにまちづくりを進める文化創造プロジェクトが実施されており、周辺の芸術文化施設利用者数への波及効果が期待されます。5月にはホテルメトロポリタン秋田別館「ノースウイング」が開業。アフターコロナにおけるインバウンドの受入れ体制が充実しました。

また、本計画における核事業である県・市連携文化施設「あきた芸術劇場ミルハス」は、来年6月オープン予定です。計画完了後も、引き続き官民一体となって活性化への取り組みを継続していけたらと考えています。

「あきた芸術劇場ミルハス(建築中)」 ※秋田市役所提供画像
「あきた芸術劇場ミルハス(建築中)」 ※秋田市役所提供画像

4棟のマンション建設に、居住人口の増加と賑わいを期待

―「秋田市中心市街地活性化基本計画」によって、秋田駅周辺がどのように変化することが期待されますか。

湊さん:現在4棟の民間マンション建設が予定されています。来年9月には中央警察署の南側隣接地に、2023(令和5)年3月にはショッピングモール「秋田オーパ」の北側隣接地に、2024(令和6)年10月には「ホテルハワイ駅前店」跡地に、「マルトヨビル」跡地には2024年(令和6年)の完成を目指し、来年度以降に順次民間マンションが完成予定となっており、合わせて数百名規模の居住人口の増加が見込まれます。これによって周辺施設の利用者も増え、賑わいが生まれ、商業施設も潤うことを期待しています。こうした期待感からでしょう。2019(令和元)年には秋田駅前商業地の公示地価が27年ぶりに上昇に転じ、令和2年にも引き続き上がりました。さらに令和2年には、全国的に人口減少が進む中にあって、中心市街地の人口は社会増に転じました。

「クロッセ秋田」 ※秋田市役所提供画像
「クロッセ秋田」 ※秋田市役所提供画像

―秋田駅西口駅前広場や秋田市文化創造館の開館など、完了した計画に対する市民からの反響などがあれば教えてください。

湊さん:西口駅前広場に関しては、駐車場だった場所が芝生広場になったので、以前と比べて格段に見栄えが良くなりましたね。ベンチでパソコン作業している人や談笑している学生たちを見かけるようになりました。文化創造館については、1階が誰でも利用できるフリースペースになっていて、読書やパソコン作業などができるんですよ。私が行ったときには現代アートの無料展示も行われていて、気軽にアートにふれられる良い場所だと思いました。市民のみなさんも同じように感じていただいていると嬉しいです。

「秋田駅西口駅前広場」 ※秋田市役所提供画像
「秋田駅西口駅前広場」 ※秋田市役所提供画像

―最後に、これから街にお住まいになる方々に向けて秋田駅周辺の魅力をお願いいたします。

湊さん:飲食店やショッピングセンターなど徒歩圏内に店が多いので、秋田駅周辺は何かと便利です。路線バスの他、1回100円で利用できる中心市街地循環バス「ぐるる」も運行しています。仙台や東京まで行ける高速バスも出ていますよ。大都市の駅前のような派手さはないかもしれませんが、ゆっくり歩いてみると、文化創造館のようなくつろげる場所や落ち着いた良い店が見つかるはずです。私は「千秋公園」のお堀に蓮の花が咲く景色が気に入っています。魅力を増した秋田駅周辺に、多くの人に足を運んでほしいです。

「千秋公園大手門の堀」 ※秋田市役所提供画像
「千秋公園大手門の堀」 ※秋田市役所提供画像

「秋田市役所」外観
「秋田市役所」外観

秋田市役所

都市整備部 都市総務課
湊一輝さん
所在地: 秋田県秋田市山王1-1-1 本庁舎4階
電話番号: 018-888-5762
URL: https://www.city.akita.lg.jp/shisei/machizukuri/1011485/1007497/1007890.html
※この情報は2021(令和3)年9月時点のものです。